マヤ遺跡探訪
CHACCHOBEN
チャクチョーベンは古典期後期の前半に栄えたマヤ遺跡で、大基壇上に聳え立つピラミッドは なかなか立派です。

1994年に調査、修復に着手された比較的新しい?遺跡の為、INAH (国立考古学局) のホームページでは近々公開予定となっていますが、実際は3年ほど前から公開が始まっていました。

チェトゥマル市から 186号、307号、293号線を走り85Kmで遺跡到着です。

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   (訪問日 2007年12月15日)
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  (Un mapa de turismo con error de ubicación de Chacchoben)

最初に地図を載せましたが、地図に記された遺跡の場所が問題なのです。 この地図は無料の観光案内図ですが、 赤丸で囲んだ遺跡表示は誤りで、実際の遺跡の位置は 印を付けた場所です。

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      (Un mapa vendido también con mismo error)

市販されている Mundo Maya と言う地図でも間違っているので要注意、地図に示された 場所は同名の村で、遺跡は直線でも 8Km 位離れています。 293号線への分岐点でどちらから行くか迷いましたが293号線で正解、Lazaro Cárdenas の村で遺跡の位置を確認すると印でした。
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 (Vista aérea por Google earth)

Google earth で確認しても、遺跡は国道 293号線の南側にありました。 遺跡の駐車場と入り口は画像の左隅です。

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 (Zona de caseta de servicios destruida por el Huracán)

という事で何とか遺跡到着、293号線を左に折れて直ぐでした。 写真は遺跡の駐車場と事務所の一部で、 駐車場は乗ってきた車と INAH マーク付のトラックだけで閑散 としていました。 事務所の屋根は8月のハリケーンで全て吹き飛ばされ修理中、入場料を徴収する係員も不在で、素通りでした。

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まずは遺跡の地図、現地の案内板の加工です。 間違い探しばかりしているようですが、遺跡の各所にあるこの案内図は 5番と9番が Las Vasijas になっています。 ネットで見つけた以前の案内板を黒枠で囲って張りましたが、5番は Las Vías が正しいようです。 ハリケーンで全て吹き飛ばされ、新しく付け替えた案内版で間違ってしまったようです。

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 (Vista aérea por Google earth)

Google earth を目盛 100m まで拡大しました。 左が神殿 24、右が大基壇です。 遺跡の案内板にある地図は方角も間違っていて、 矢印が北ではなく西を向いています!  ヤレヤレ。

上の案内板の画像には赤で正しい方向にと書き加え、以下 説明文中の 方角は正しい方角に合わせてあります。


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 (Camino hacia Templo 24)

前置きが長くなりました、ここから遺跡です。 奇麗に整備された道を進んでいくと神殿24が見えてきます。 通常この辺り には、西語、英語、マヤ語で遺跡の概略を書いた看板があるのですが、新しいせいか、ハリケーンのせいか、 見当たりません。

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 (Parte norte de Templo 24)

神殿24の西側正面に来ました。 通常主要な建造物の前には、タイルに建造物の説明を焼きこんだものが埋め込まれていますが、 チャクチョーベンにはありません。 公開から日が浅くこれから整備するのでしょうか?

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 (Parte noroeste de Templo 24)

同じ神殿24の南西側。 概略がなく、個別の建造物の説明もなく、唯一の情報は INAH のホームページですが、ここにも建造物の詳細 な説明はなく、高さがどれだけあるのかも判りません。

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 (Parte oeste de Templo 24)

神殿24の南側の写真です。 INAH のページで、チャクチョーベンの建造物は古典期前期とあります。 250AD から 600AD 位に なりますが、増改築が繰り返されたようでいろいろな建築様式が見られるとの事、でもどこがどうなのか判りません。

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 (Un montículo al sureste de Templo 24)

訪問経路に戻って、グランプラサの北側を通り大基壇に向かいます。 地図によると神殿24の先には建造物が2つある筈ですが 写真のように未発掘の土塁、グランプラサも名ばかりで灌木がうっそうと茂って見通しがききません。

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 (Parte norte de Gran Basamento)

グランプラサの東端、大基壇の下まで来ました。 グランプラサの標識があり写真が傾いているように見えますが、傾いているのは 標識の方。 写真中央に見える大基壇の階段下右側に覆いがついた所があります、写真では見づらいですが。

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 (Una estela rota al norte de Gran Basamento)

覆いの下には壊れた石碑がありました。 人物が刻まれマヤ文字もありますが、風化が激しく解読は難しいようです。 でも間違いなく 古典期の遺跡である事の証明になりそうです。

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 (Escalinata para llegar a Los Gémelos de Gran Basamento)

大基壇に登るには西側に2つの階段がありますが写真は北寄りの階段です。 2枚上の写真の階段は南寄りの階段でした。  この北寄りの階段から登ってみます。 階段の上、左右の建造物は双子、Los Gemelos です。

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 (Templo 1 de Gran Basamento, vista desde noreste)

階段を登ると対角線上、つまり大基壇の南東側に神殿1が見えてきます。 正確な高さはわかりませんが、神殿24と同じ位で しょうか、でも大基壇に乗っているので頂上の実際の高さはこちらの方がかなり上です。

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 (Templo 1 y pequeño templo adosado a su frente)
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神殿1に近づいてみました。 神殿上部には暦に関係したマーカーがあったそうですが、登頂禁止で確認できません。  中央階段下には小神殿跡があります。 古典期後期の初め、600-700AD 頃に付属され、天文観測に用いられたそうです。

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 (Lado frontal de Templo 1)

神殿1の西側正面です。 西向きですが、ほんの少し南北の基軸からずれています。  登らせてくれたら上からの眺望は素晴らしいものだと思いますが、残念ですね。

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 (Estructura Las Vasijas)

神殿1から北側を見るとバシーハス(容器)のピラミッドがあります。 同じ大基壇上でも一段下がった所にあり、ピラミッド自体 小振りです。 何故容器という名前なのか、容器が発掘回収されたのでしょうか? 大基壇上では香炉が沢山見つかっているそうですが。

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 (Estructura Las Vasijas)

少し近づいてみました。 南向きの正面階段は左右に手すり?が付いていて、神殿 1とも神殿24とも異なる建築様式です。  古典期前期なんでしょうね。 後古典期の香炉も回収されているとの事で、チャクチョーベンは古典期後期中頃に衰退した後も一部居住は 続いたようです。

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 (Esquina noreste de Las Vasijas)

ピラミッドの北側に覆いが取り付けてあるので行ってみました。 容器のピラミッドは古い建造物の上に新しい建造物が重ねられた ようで、手前に新しい建造物の基部が残り、今露出しているのは古い方のようです。 覆いの下は逆光で気づきませんでしたが、古い建造物の オリジナルの赤い漆喰が部分的に残っていたようです。

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 (Las Vasijas y plaza este de Gran Basamento)

東側から見た双子の建造物です。 階段を登りここから大基壇に入りました。 右側の木は途中で折れていますが、ハリケーンの被害の ようです。

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 (Alrededor de Gran Basamento, árboles dañados por Huracán)

大基壇を降りて大基壇の南側に回りました。 大基壇上に神殿1が頭を出しているのがわかりますね。 根元から倒れた木や折れた木があり、 ハリケーンの凄さを物語っています。

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 (Las Vías)

LAS VĺAS の標識がありました。 VĺA は交通路の意味ですが、建築なので回廊と意訳してみました、違うかな?  貴族の住まいだったそうですが、 建物は基部を残すだけ、木で柱や壁を作りヤシの葉で屋根を葺いたような簡単な住居だったみたいです。

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 (Las Vías)

LAS VĺAS 回廊を西に進みます。 植生はハリケーンの被害を受けており以前はもっと欝蒼としていたそうですが、遺跡を見る方としては 好都合!

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 (Plaza B)

回廊から広場Bへ抜けます。 こちらの方が建物跡から建造物は規模が大きかったようですが、西側の神殿24以外は殆ど基部を残すだけ です。

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 (Plaza B)

広場Bの標識です。 写真の通り、広場は木々が欝蒼と茂り、折れた木の切り株に未発掘の土塁もあります。  これでも見通しは良くなったそうですが、広場の東側からは西側にある筈の神殿24は見えません。

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 (Plaza B y Templo 24)

広場を少し進むと神殿24が見えてきました、遺跡に入って最初に見た神殿24の裏側(東側面)です。 この辺りは少し広場らしく見通し がききます。 広場Bは周りより地面が高くなっている為、西側よりピラミッドは低く見えます。

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 (Lado sur de Templo 24)

広場に面したこの東面は幅の広い階段がついていて、いろいろな儀式が行われたのでしょうか。 正面には保護の為の覆いが ついていました。 覆いの下に何があるのか興味津津でしたが…。

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 (Debajo del techo, escultura de estuco está conservado en el interior de la pared)

これが覆いの下。 両側の階段の間に窪みがありますが、でも何にもない!
遺跡の入口に戻るとガイドと称する人がいて、彼に聞いたみたところ、覆いの下の壁からは漆喰彫刻が発見されたが保存の為に埋め戻されたのだ、 とか。 彼も見た事がなくどういう彫刻かは知らないと言う事でしたが、見てみたいものです。

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(Personal de INAH estaba acompañando a los arqueológos para su inspección del sitio y no me cobraba la entrada.  En su lugar un pájaro rojísimo me despidió !)


まだ入場料も払っておらず暫くガイド氏と会話して係員の戻りを待ちました。 当日はチャクチョーベンの発掘にあたった考古学者が ハリケーンの被害を見る為に訪問してきて係員と遺跡を回っているそうで、途中一行とすれ違い挨拶を交わしたのを思い出しました。 考古学者は2名のメキシコ人の中年女性でした。

自然が豊かで写真のような見たこともない真っ赤な鳥も飛んできて退屈する事はありませんでしたが、午後4時を過ぎても一行は戻ってきません。  結局入場料は踏み倒して帰途につきました。 m(_ _)m


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